サップの釈明

某所より。長いよ。

※私=サップ

私は今年5月13日にオランダの「K-1欧州GP」で起きた出来事について、 その真実を明かしたいと思います。なおこの文章は、私が英語で語った言葉を私の代理人が日本語の文章にしたものです。まず初めに、私がオランダ大会に出場しなかったことについて、会場に足を運んでいただいた皆様、テレビの前で私の試合を楽しみにしていたファンの皆様に対し深くお詫び申し上げます。本日、私はオランダ大会で起こった全ての真実を皆様にお伝えしたいと思い、声明文を出すことを決意しました。
そもそも私は、ホースト選手との試合から逃げたわけではありません。すでに2回KOしているわけですから、彼を恐れて逃げる必要などありません。私はオランダにいた時からこの声明文を出すまでの間、身の危険を感じながら、どう真実を語れば良いか、ずっと思い悩んでいました。「K-1」に裏 切られ、失意の日々を送っていました。しかも、オランダ大会後、「K-1」の谷川氏を含む人たちが日本のマスコミに真実を全く語らなかったことに対し、私は言い様のない憤りを覚えました。そこで、全ての真実を語る必要があると強く感じ、今回のことを決心したのです。事件の真相は次のとおりです。

私はオランダ大会の1週間前から「K-1」からいくつもの新しい契約オファーをもらい、それはお互いの弁護士を通じて交渉してきました。そもそも私と「K-1」との契約のなかで、「契約試合数」に関しては全て履行しており、今回のホースト戦をするにあたっても、「K-1」側からは「ホースト戦も含めて、新たな契約を結びたい」という話をもらっていたのです。ですので、新たな契約を結ぶにあたって、詳細に関するやり取りをしていました。そして、試合当日の午前9時に「K-1」に契約書を提出し、「K-1」側がこれを受領しました。
この契約書とは、元々「K-1」が作成したもので、私たちがそれを修正したものです。その後、最終的にサインをもらうため、ずっと部屋で待っていたのです。しかし、何の音信もなかったため、午後1時にホテルを出る選手用のバスに乗ることができませんでした。すると、ホテルのロビーでは関係者らしき人たちが怒鳴りながら喧嘩をしていました。さらに「K-1」の関係者に「君が試合をしないと、もっと大変なことが起きるよ」と言われ、本当に怖くなり急遽二人のボディガードを雇ったのです。
私は試合に出場するつもりで契約の交渉を進めていました。日本の報道では私が欠場をちらかせて無理な要求をしたということになっているようですが、事実ではありません。私はプロのファイターとして契約書に基づいて試合をする為に、現地入りし、そしてあくまでビジネスに基づいて契約交渉をしていたに過ぎません。私は当然、「K-1」が契約を結んでくれるという約束を信じてオランダへ行ったのです。

そして午後2時か3時になって、「K-1」の弁護士から電話が入りました。同日午前9時に私の出した契約書について、弁護士が「「K-1」の谷川代表が、契約書に同意しました。谷川氏は会場で待っているので、会場に来てください。彼は会場でサインをする」と言われたため、私はボディガードと一緒に会場に向かいました。
私はオープニングセレモニーに出た後、ロッカールームでずっと谷川氏を待っていました。私はウォームアップをし、手にはテーピングもして、戦うつもりで準備をしていました。しかし、2時間以上待っても彼は全く姿を現しませんでした。その間、フジテレビや「K-1」スタッフに対して、谷川氏を呼ぶように何回も催促をしました。結局谷川氏は来ませんでした。
すると、谷川氏の代わりに、「K-1」の共催者で地元のオランダ人プロモーターと男二人がロッカールームに乱入してきたのです。プロモーターが「お前が戦わないと、誰かが傷つけられたり、死ぬこともあるぞ」と脅迫しました。私は強い恐怖を感じ、試合開始が近づくにつれて居ても立ってもいられなくなり、契約書を持ってリングサイドにまで行ったのです。石井館長に谷川氏を呼んでサインをするよう求めました。私の試合は30分後に始まるので、本当に切羽詰まって追い詰められた状況でした。

その時石井館長は、契約書を初めて見たかのように装い、全く取り合ってくれませんでした。その後「K-1」の弁護士がやって来て「谷川氏は英語が読めないから、契約書にサインできない。今朝同意した契約書がどうかわからない」などと言ってきました。しかし、今朝提出してから既に9時間も経っています。しかも今朝提出し、その後彼等が同意した契約書と全く同じ契約書でした。2時間以上ロッカールームで待たされ、弁護士は接触しようともしてこないで、この土壇場でこんなことを言ってくる。
そこで私は気づいたのです。「K-1」はサインする意思は皆無で騙されたのだと。さらに、リングサイドで凶暴そうな男たちにに囲まれ、彼らは脅迫や暴言を私に繰り返してきました。そして、「K-1」の地元プロモーターたちが、「お前が戦わないなら、人が殺される」と再度私を脅したうえ、彼が拳銃を持っているかのような仕草までしたのです。「K-1」側もこの暴挙を知っていたにも関わらず、ただ傍観していました。
ボディガードは私の命が危ないと判断して「直ちに会場を去るべきだ」と言い、やむを得ずに会場を後にしました。この経緯は地元の警察でも調べており、私も捜査協力を頼まれました。よく考えた末、捜査に協力すると決断しました。「K-1」と地元の共催者にはどういう関係にあるのか、私にはわかりませんので、直接「K-1」に問い合わせていただければと思います。
私が聞いた所によると、以前、この「K-1」の地元共催者たる人間は暴力事件を起こし、つい最近まで警察に捕らえられた犯罪者です。私はオランダで起きた事実を日本のファンに知ってもらいたいものです。冒頭にも申し上げた通り、いまだに身の危険を感じています。しかし黙ったままでいたのでは、結局何も解決しないと判断し、この声明文を出すことを決心しました。
最後に本件に関して、「K-1」、フジテレビ、ファンの皆様にお願いしたいことを列記し、私の声明文とさせていただきます。

K-1」に対して
オランダ大会後、「K-1」は日本のマスコミや日本のファンに真実を伝えておらず、自分たちの保身に終始してきました。それらの誤った報道によって私の名誉・イメージ、格闘家しての評価が著しく落とされたことには、強い怒りを覚えています。
K-1」に対してこれまで一方的に流していたデマを撤回するとともに、真実を認めて謝罪してほしいものです。そしてプロモーターとして信頼関係を築き直し、安心して戦える場を私に提供してほしい。「K-1」が、格闘家としてのデビューを応援してくれたことに感謝している一方、私を、このような危険な状況にさらしたうえ、助けようとしなかったことについては、裏切られた心境です。

フジテレビに対して。
オランダ大会を放送したフジテレビは、オランダにおいて私と「K-1」と地元共催者との間で起きた本当の事を知りながら、ただ黙って傍観し、イベント放送中と放送後も真実を全く語ろうとしなかった行為に極めて遺憾に思います。
実は、私のロッカールームにフジテレビのスタッフもずっと居合わせており、出来事の一部を目撃しています。担当者の名前を知っていますが、友達だと思っているので私の口からは言いたくありません。彼女には勇気を持って真実を語ってほしいものです。しかし、彼女の立場も理解しているつもりなので、もし彼女が真実を話すことができなくても責めることはしません。また、私とフジテレビへの説明責任を放棄したことに対しても大変遺憾に思っています。
事件後、フジテレビは一度も私から事件を聞こうとしていません。恐らくファンへ真実を語る必要性を感じていないのでしょう。どうして事実を伝えようとしないのでしょうか?

ファンに対して。
私はプロのファイターです。プロとして契約を守り、一刻も早くリングに上がってファンの皆様の前に戦う姿を見せたいのです。「K-1」はプロモーターとして信用と、安心して戦う場を私に約束してもらえるなら、私はいつでも戦う用意があります。しかし、オランダ大会と同じ悪夢のような恐怖をもう二度と味わいたくないのです。

日本のファン、マスコミ各社、イベントを放送するフジテレビを含む皆様にも応援していただけるよう、心からお願い申し上げます。なお、私は近日中に記者会見を開き、自らの言葉で話したいと思います。

2006年6月吉日
ボブ・サップ

さてさて、どうなりますことやら。サップさんの会見も大体はこれをなぞったものになるんでしょうがK-1はどう出るんでしょうね?まぁ、自分のような人間に真相が明らかになることはないんでしょうけど。